まちなか群像

まちなか群像|第4回|ポリテクカレッジ島根 住居環境科のみなさん


JR江津駅の東側にある江津駅前ビル。国道9号沿いに細長いこのビルは建物の高さがバラバラで、その容姿からいつしか“軍艦ビル”と呼ばれるようになりました。かつては多くの店が軒を連ね、駅前の賑わいの象徴でもありましたが、竣工から40年以上が経過し、古ビルとなりつつあります。そんな軍艦ビルの一角を再生・活用しようという動きがあります。今回はそのプロジェクトをレポートします。

――今回リノベーションする建物について教えてください。

竹口:この建物は昭和42年に竣工しました。建物の高さ、階数はバラバラですが、一番高いところで5階建てで、鉄筋コンクリート造です。建物は東西に細長く、高さがバラバラで、建物全体を見渡すとその姿が軍艦のような形をしているので、いつしか“軍艦ビル”と呼ばれるようになり、今回のプロジェクト名にも使いました。1階部分は15戸あり、今回はその1戸の1階部分をリノベーションしています。

――軍艦ビルを再生させようという動きは元々、江津駅という立地にありながら、建物の老朽化とともに空き店舗が増えたこの建物を再生させようと、株式会社石州あかがわらというまちづくり会社が発端になっています。今回、ポリテクカレッジ島根がリノベーションに取り組むことになった経緯を教えてください。

竹口:株式会社あかがわらの今井聖造社長から、軍艦ビルを何とかしたい、という話をいただいたのが最初のキッカケです。そこでまず、2017年に学生の卒業制作のテーマとして、軍艦ビルの建て替え後を設計課題としました。2018年になって、実際の空き店舗をリノベーションすることになりました。

――“リノベーション”は、ただ改修するだけでなく、新しく価値を付け足すこと、という意味で使われますが、現在改修中の建物ではどのような工夫や付加価値がありますか。

竹口:今井社長から、「江津らしいデザインを」という依頼があったので、江津で手に入れることができる素材をふんだんに使っています。タイル、土壁、勝地半紙、流木、柿渋、セラミックサンド、蜜蝋、えごま油、竹などですね。江津でとれる素材はたくさんありますよ。

――それだけの素材をどのようにして見つけたのですか。

竹口:私は今の学校に赴任して数年経ちますが、その間に地元のいろいろな方とつながりました。市内外の様々なイベントやプロジェクトに積極的に参加した結果、これらの素材を見つけることができました。学校だけに留まっていたら、見つけられなかったかもしれないですね。

――今回リノベーションした物件は、今後使われる予定があるのでしょうか。

竹口:地元の方々の物販のチャレンジショップ※として使っていただく予定です。今回のプロジェクトは、改修後の用途も事前に決まっていたので、それを踏まえて設計、施工しています。2019年2月に完成予定です。

――今回のリノベーションプロジェクトは、ポリテクカレッジ島根の卒業実習という位置づけですね。この場所は4月以降にお店として使われるわけですが、実際に人に使ってもらう建物を改修する経験というのは、学生のうちに経験しがたいことだと思いますが、どうでしたか?

土田:そうですね。学校で模擬家屋を建てる実習はありますが、今改修している場所を今後誰かが使うとなると、やはり作業中は緊張感があります。
安部:この店舗は今後人が使うので、失敗はできません。使い勝手も考えながら作業します。当初の設計どおりにいかないこともありますが、それはそれでよい経験になっています。

――新築ではなく、改修、リノベーションすることの良さや面白さはどんなところにありますか。

竹口:昔の雰囲気を残せるところですね。長い年月が経ったことで出てくる風合いなどは、新築で表現することは難しいです。また、既存の建物を改修する場合はいろんな制約がありますが、その制約の中で工夫するのもリノベーションの面白さです。制約があるからこそ出てくる工夫が、デザイン的にカッコ良くなったり、面白い使い方に生まれ変わることもあります。

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